本のご紹介
BOOKS
『やさしいさんぱつや』"Yasashii Sanpatsuya"
2025 小学館 ISBN978-4-0972-5438-6
作 くすのきしげのり
絵 横須賀香
ぼくの町にはおじいさんの散髪屋がある。
この町に住む人はみんな、入学式、卒業式、結婚式、どんなときもおじいさんに髪を切ってもらっている。だから、おじいさんは町の人のことをよく知っているんだ。
おじいさんの散髪屋は、町の人にとって大切な場所だ。
ある日、ぼくが散髪しに行くと、いつものようにおじいさんは、ぼくの話を聞きながら
シャキシャキ、シャキシャキ
ところが、散髪が終わりシャンプーが終わったのに、また、ケープをかけて、
シャキシャキ、シャキシャキ
おじいさんは、ニコニコと散髪を続けて、いくら止めてもやめてくれなかった。
どうしよう……。
ぼくは、どうなるかとドキドキしたけど嫌じゃなかった。
おじいさんには、ずっとずっと散髪屋を続けてほしいんだ。
町のみんなも、きっとそう願っている
『木箱の蝶』"Kibako no Chou" -The Wing in the Wooden Box-
2022 BL出版 ISBN978-4-7764-1075-1
作 藪口莉那
絵 横須賀香
お父さんの部屋から、ハタリと音がした──。 「ぼく」は、夕日に染まるお父さんの部屋で、小さな木箱をみつけます。 中に入っていたのは、1枚だけの蝶の羽。 やってきたお父さんは、大好きだった蝶の羽を大切にしまっているんだと教えてくれました。 その夜、さびしそうに故郷の山をみつめる蝶の夢をみた「ぼく」は、翌朝、画用紙と絵の具を用意して、蝶の仲間を作りはじめます。 「ひとりきりでさびしいと思うんだ。 だから、ぼくが仲間を作るんだよ」。 「ぼく」の優しさやお父さんの思いが、切なく温かく胸に迫ります。
●第38回 日産童話と絵本のグランプリ大賞受賞作